ヨーロッパの研究者達は、レーザーにより銅や金の極小の滴を作り出して3D造形する技術の開発に成功した。熱や電気をより通しやすい構造の金属が造形できるようになり、新しいデバイスやコンポーネントの開発につながる可能性がある。
オランダのトゥウェンテ大学で開発されたこの新技術では、薄い金属のフィルムをレーザーで溶かすことで微細な滴を作る。この精密な溶解技術が、極小の滴を積み上げて高精度の金属構造を作ることを可能にした。
開発チームによると、こうした方法で何千もの滴を積み上げることにより、直径わずか5ミクロンで高さ2ミリの金属構造を造形できたとしている。この技術を使えば、電極や回路などありとあらゆる形状を造形できるという。
従来のレーザー焼結技術と違い、新技術では金属粉末は使用しない。新技術開発の鍵となったのは、今までよりも高いエネルギーのレーザーを使用することだった。高エネルギーレーザーを使用することで、高速滴(fast droplets)と呼ばれるものを作り出すことが可能になる。高速滴(fast droplets)は、基盤に着地した時にすぐに平らな円盤状に変形する性質を持つ。実験の初期段階では、レーザーのエネルギーが足りなかったため円盤ではなく球状になってしまい、安定して積み上げることができなかった。
現在のところ、落下目標地点の隣にも滴が落ちてしまうという課題が残っている。開発チームは、この問題を解決し、金属だけでなくジェルやパスタなどの濃い液体の3D造形へ応用することも検討している。
この研究はAdvanced Materials誌に掲載された。