先週末ニューヨークシティーで行われたメーカーズフェアで、Scott VaderとZachary Vaderの親子が、液状に溶けたアルミや銅などの金属を造形する3Dプリンターのプロトタイプを展示した。ただし開発はまだ途中で肝心のプリンターヘッドは装着されておらず、実際に造形したオブジェクトの展示もなく、開発計画の発表にとどまっている。
Mark 1と名付けられる予定の第1号機は、約200万円($20,000)~1,000万円($100,000)で販売される見通し。Vader親子によると、1年以内には100万円($10,000)未満の廉価版も発売が予定されている。
Liquid Metal Jet PrintingまたはDirect-To-Metal Printingと名付けられたこのプリンターの造形方法は、液状になった金属を磁力で制御しながら造形していくもの。元々磁力的な性質を持たないアルミなどの金属に関しては、まず金属に電荷を与えることから始める。これは、インクジェットプリンターがインクの水滴に電荷を与えて磁力で制御しながら紙に印刷する方法と同様だ。また、インクジェットプリンターと同じように多数のノズルから同時に液状金属を出すことで、現在の3Dプリンターの短所である造形時間の長さも短縮できるとしている。
この造形方式では金属の電気伝導率がカギとなるため、対応する素材を増やしていくには工夫が必要となる。しかしZachary Vader氏によると、銅、銀、金に関しては比較的簡単に対応可能だという。
完成にはまだ時間がかかりそうだが、現在の金属3Dプリンターの主流である粉末を素材とした造形には多孔性の問題があり、Vader親子の液状金属プリンターの早期実現が期待される。